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パワーハラスメントとは?理解は防止対策に繫がります!

○パワーハラスメントとは?
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(通称:パワハラ防止法)に定義されている。
第三十条の二 事業主は、職場*1において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者*2の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
職場において行われる②③の要素全てを満たすものをパワーハラスメントという。
①「優越的な関係を背景とした」言動 
事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が当該言動の行為者とされる者(以下「行為者」 という。)に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指す。
(例)
・ 職務上の地位が上位の者による言動
・ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・ 同僚又は部下からの集団によ る行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動
社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指す。
・ 業務上明らかに必要性のない言動
・ 業務の目的を大きく逸脱した言動
・ 業務を遂行するための手段として不適当な言動
・ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
※当該言動が「業務上必要かつ相当な範囲を超えている」か否かについては、様々な要素*3を総合的に考慮する必要がある。とされていることから、パワハラに該当するか否かの判断が困難なところである。
*3:当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・ 業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性等
その他、当該言動により労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛の程度等を総合的に考慮して判断することが必要。
③「労働者の就業環境が害される」
当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指す。
※当該言動によって「労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じている」か否かについては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で 当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当である。とされているが、感じ方は人それぞれであるので、これについてもパワハラに該当するか否かの判断を困難にするものである。とはいえ、常識的かつ平衡感覚を以て考慮すればよいものと思われる。
 
上記のように、パワハラに該当するか否かは①②③の要素を満たすことで認定されることから、一部判断が困難であるものもあるが、自身の言動がこれに該当しないか意識して行動することが重要である。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
と、厚労省が定めた指針に記述されているので、パワハラに該当することを恐れるあまり殊更に自重しなければならないものとはいえない。
*1:事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれる。(例)・出張先・業務で使用する車中・取引先との打合せの場所(接待の席含む)
*2:いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、 契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する労働者の全てをいう。
また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、防止措置の対象。
 
○パワーハラスメントの代表的な言動の類型例
イ 身体的な攻撃(暴行・傷害)
㈠該当すると考えられる例
① 殴打、足蹴りを行うこと。
② 相手に物を投げつけること。
㈡該当しないと考えられる例
① 誤ってぶつかること。

ロ 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
㈠該当すると考えられる例
① 人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関す る侮辱的な言動を行うことを含む。
② 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し 行うこと。
③ 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
④ 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を 含む複数の労働者宛てに送信すること。
㈡該当しないと考えられる例
① 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改 善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。
②その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。

ハ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
㈠該当すると考えられる例
①自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
②一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること
㈡該当しないと考えられる例
① 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等 の教育を実施すること。
②懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させる ために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること。

ニ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
㈠該当すると考えられる例
①長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。
②新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
③労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。
㈡該当しないと考えられる例
①労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。
②業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。

ホ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
㈠該当すると考えられる例
①管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。
②気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。
㈡該当しないと考えられる例
①労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること。 

ヘ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
㈠該当すると考えられる例
① 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
② 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。
㈡該当しないと考えられる例
①労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。
②労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。
この点、プライバシー保護の観点から、ヘ㈠②のように機微な個人情報を暴露することのないよう、労働者に周知・啓発する等の措置を講じることが必要で ある。

○国の責務
パワハラ防止法
第三十条の三 第一項 国は、労働者の就業環境を害する前条第1項に規定する言動を行つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
※国にはパワハラを行ってはならないことや、パワハラが発生した場合にはいろいろな問題を引き起こすことについて広報活動や啓発活動を通じて、事業主や国民一般に関心と理解を促すことが求められる。

○事業主の責務
パワハラ防止法
第三十条の二 第二項 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
第三十条の三 第二項 事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。
第三十条の三 第三項 事業主(その者が法人である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
※事業主にはパワハラに関する雇用管理上の措置をし、その措置に基づいてパワハラに関する相談や相談への対応等した労働者に対して不利益取扱いをしてはならないことや、従業員がパワハラへの関心と理解を深め、他の従業員に対する言動に必要な注意を払うことができるよう研修等を実施し、また事業主自身もパワハラに関する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うことが求められています。
 
○労働者の責務
パワハラ防止法
第三十条の三 第四項 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。
※従業員にもパワハラへの関心と理解を深めるために事業主から提供された研修等という機会を有効活用し、パワハラに関する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うという自身の責務を果たし、事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力することが求められています。
2026年03月19日 14:30

子ども・子育て支援金制度、~日本の未来のために~

子ども・子育て支援金制度
○子ども・子育て支援金の徴収が始まります。
2023年4月7日、日本政府は「こども未来戦略会議」を立ち上げ、社会問題となっている少子化や人口減少の進行に歯止めを掛けるための対策の検討を開始しました。
その中で、日本の出生数は2000年代に入ってから急速に減少してきていて、このままだと2030年代には若年人口は現在の倍のスピードで急減すると考えられるため、これからの6~7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、2030年が少子化対策の分水嶺となるとの認識の下、今後3年間を集中取組期間として「こども・子育て支援加速化プラン」に取り組むこととし、子育て支援の新設・拡充を行うこととしました。「子ども・子育て支援金」は、この子育て支援策の財源を確保するために創設されたもので、令和8年4月分から健康保険料に併せて徴収が開始されます。
 
○子ども・子育て支援金を負担するのは誰か。
子ども・子育て支援金は、独身者、子育て終了者、高齢者を含む総ての世代が負担し、子育てをみんなで支え合う仕組みです。それでは、子育て世代の者は負担しないのか、といえばそうではありません。健康保険料に併せて徴収される仕組みですので、子育て世代の者も負担することになります。ただし、育児休業期間中の企業の従業員については、健康保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除されます。(自営・フリーランスの育休については後出)
子育て世代者からすれば、自身も負担するのなら支援されていることにならないのでは?と割り切れない思いをする方もおられるでしょうが、負担した分の何倍もの給付があるのですから、仕組みの簡潔性・統一感を保持するという観点からは納得せざるを得ないものと思います。
一方、子育て世代以外の者の割り切れない思いはといえば、国の将来を考えての支え合いに協力するということで納得せざるを得ないということなのでしょう。
なお、企業の従業員(被用者保険加入者)の負担額は、健康保険料や厚生年金保険料と同様に企業と折半負担となりますので個人負担は軽減されます。支援金の負担は個人だけでなく企業も負担する仕組みとなっています。
○子ども・子育て支援金の負担額
支援金の金額については、加入している健康保険によって計算方法が異なるため、一律で記載できませんが、加入制度によって以下のようになります。
  • 被用者保険加入者(企業の従業員)の場合
・支援金額(月額):標準報酬月額×支援金率*
*:国が一律の支援金率を示すこととしていて、令和8年度の支援金率は0.23%
・事業主と折半負担
・令和8年4月分支援金(5月支給給与から控除)から徴収開始
  • 国民健康保険加入者
・支援金額(月額):居住市区町村ごとの計算に則して決定
・令和8年4月分支援金から負担、徴収開始時期は各市区町村が決定
  • 後期高齢者医療制度加入者
・支援金額(月額):居住市区町村ごとの計算に則して決定
・令和8年4月分支援金から負担、徴収開始時期は各後期高齢者医療広域連合が決定
上記のとおり、個々人の金額を記載することは加入する医療保険、世帯、所得の状況等によって異なるためできませんが、こども家庭庁資料によると、全加入者1人当たりの平均月額(見込み)は、令和8年度250円、令和9年度350円、令和10年度450円程度と推計されています。
○子ども・子育て支援金は何に使われるのか。
子ども・子育て支援金は「こども・子育て支援加速化プラン」に盛り込まれた以下の子育て支援策の給付を通じて現役世代に還元されます。つまり、支援策のための給付として使われます。
<子育て支援策>
①児童手当の拡充(R6.10から支給開始)
所得制限撤廃、高校生まで延長、第三子以降3万円

②妊婦10万円給付(R7.4から支給開始)
妊娠・出産時に合計10万円給付

③育児休業手取り10割(R7.4から支給開始)
両親が育休取得した場合に手取り10割相当支給

④育児時短勤務給付(R7.4から支給開始)
育児中に時短勤務をする場合に時短勤務時の賃金の10%を支給

⑤こども誰でも通園制度(R8.4から給付化)
保育所等に通っていないこどもの保護者が月10時間利用可能

⑥国民年金1号被保険者の育休中保険料免除(R8.10から制度開始)
自営業やフリーランスの育児期間中の国民年金保険料免除

なお、徴収した支援金の使途は法律ですべて子育て支援関係に限定されているため、他の用途に使用することはできません。
 
以上、「子ども・子育て支援金制度」は、子育て世代への支援を全世代で行い、少子化や人口減少という国が抱える社会問題の改善を図るために設けられた新しい負担金制度です。
全世代で負担した支援金が、子育て世代に有効に活用されることで、国が抱える問題好転への一助になることを願います。
2026年01月23日 10:40

労働基準法第五条 強制労働の禁止

労働基準法第五条 強制労働の禁止
労働基準法第五条は、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」とし、強制労働を禁止しています。かつては監獄部屋・たこ部屋といった特定の居住設備に労働者を長期間拘禁して自由を奪い、囚人労働に等しいやり方で労働を強いていた例があるようです。しかし、令和の時代にこのような江戸時代の封建制度的なことはないのでは?と思うところですが、近年においても判例の存在等、決して過去のものではないようです。
この条文は、憲法の第十八条の「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」との定めに則って規定されたもので、通達においても「憲法第十八条は国民の基本的人権として「何人もいかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服せられない」ことを保障している。
労働基準法第五条はこの趣旨を労働関係について具体化し、労働者の自由の侵害、基本的人権の蹂躙を厳罰をもって禁止し、以て今なお労働関係に残存する封建的悪習を払拭し、労働者の自由意志に基づく労働を保障せんとすることを目的とするものである。」とされています。
○精神又は身体の自由を不当に拘束する手段
精神又は身体の自由を不当に拘束する手段とは、通達によると、精神の作用又は身体の行動を何らかの形で妨げられる状態を生じさせる方法をいう。「不当」とは法の目的に照らしかつ個々の場合において、具体的にその諸条件をも考慮し、社会通念上是認し難い程度の手段の意である。したがって、必ずしも「不法」なもののみに限られず、たとえ合法的であっても、「不当」なものとなることがある。
例示として、賃金との相殺を伴わない前借金が周囲の具体的事情によって労働者に明示のあるいは黙示の威圧を及ぼす場合が挙げられ、その手段について、それ自体としては、労働者が主観的にその精神又は身体の自由を失うかどうかにかかわらず、客観的に見て通常人がその自由を失う程度であれば足りるものとし、またこの手段を用いることによって使用者が労働者の意思に反して、労働することを強制し得る程度であることが必要であるとしています。
  • 暴行とは?
「暴行」とは、刑法第二百八条に規定する暴行であり、労働者の身体に対し不法な自然力を行使することをいい、殴る、蹴る、水を掛ける等は総て暴行であり、通常傷害を伴いやすいが、必ずしもその必要はなく、また、身体に疼痛を与えることも要しない。と通達されています。
  • 脅迫とは?
「脅迫」とは、刑法第二百二十二条に規定する脅迫であり、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の家族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要なく暗示する程度でも足りる。と通達されています。
  • 監禁とは
「監禁」とは、刑法第二百二十条に規定する監禁であり、一定の区画された場所から脱出できない状況に置くことによって、労働者の身体の自由を拘束することをいい、必ずしも物質的障害を以て手段とする必要はない。暴行、脅迫、欺罔などにより労働者を一定の場所に伴い来り、その身体を抑留し、後難を畏れて逃走できないようにすることはその例である。と通達されています。
  • その他の手段
「暴行」「脅迫」「監禁」以外の手段で「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」として通達は、長期労働契約、労働契約不履行に関する賠償額予定契約、前借金契約、強制預金を挙げていますが、それらは労働基準法においてそれぞれ第十四条「契約期間等」第十六条「賠償予定の禁止」第十七条「前借金相殺の禁止」第十八条「強制預金」の規定において強制労働と密接に関連するものとして禁止されています。また労働契約に基づく場合であっても、労務の提供を要求するに当たって、「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」を用いて労働を強制した場合には第五条違反となることはいうまでもなく、要はその手段が正当であるか不当であるかによって決定されることになるとしています。
ただし、就業規則に社会通念上認められる懲戒罰を規定する場合は不当には該当しないものとしています。
・第十四条「契約期間等」
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、五年)を超える期間について締結してはならない。
一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
長期労働契約は、労働者の意思に関係なく、労働者を長い期間不当に拘束することになる可能性があるため、「強制労働の禁止」に抵触するおそれがあります。
 
・第十六条「賠償予定の禁止」
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
損害賠償額を予定する契約は、労働者が違約金や損害賠償額を支払わなくて済むようにするために、一定期間拘束されることになる可能性があるため、「強制労働の禁止」に抵触するおそれがあります。
・第十七条「前借金相殺の禁止」
第十七条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
前借金契約は、労働者が使用者からの借入金を完済するためにその意思に反して働かなければならず、不当に拘束される可能性があるため、「強制労働の禁止」に抵触するおそれがあります。
・第十八条「強制預金」
第十八条 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
貯蓄金管理の労使協定を締結する場合を除いて、労働者に強制的に貯蓄させたり、また貯蓄金を管理する契約は、労働者自身の金銭を質にとられていることになり、万が一の時に払い戻しが受けられなくなる恐れがあり、労働者を不当に拘束することになる可能性があるため、「強制労働の禁止」に抵触するおそれがあります。
○意思に反する労働の強制
「労働者の意思に反して労働を強制する」とは、不当なる手段を用いることによって、使用者が労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げ以て労働すべく強要することをいう。従って必ずしも労働者が現実に「労働」することを必要としない。例えば労働契約を締結するに当たり「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」が用いられ、それが意識ある意思を抑圧し労働することを強要したものであれば、これに該当する。と通達されています。
つまり、労働を強制したというためには「必ずしも労働者が現実に労働することを必要とするものではなく、労働契約締結に当たり「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」が用いられ、それが意識ある意思を抑圧し労働することを強要したものであれば労働を強制したことになるということです。
これに反し、詐欺の手段が用いられても、それは、通常労働者は無意識の状態にあって意識を抑圧されるものではないから、必ずしもそれ自体としてはこれに該当しない。
と通達されていています。
つまり、意思に反して労働を強制することが禁止されているのですから、詐欺の手段が用いられた場合には、労働者はその意思を抑圧されているものではなく、欺されて気づいていないということですからこれに該当するとはいえないということです。
○罰則
第百十七条 第五条の規定に違反した者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
労基法第五条に違反した場合、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金の規定が設けられています。
この罰則は、労基法の罰則規定の中で最も重いものであることから、憲法の趣旨に則った第五条を重視し、また強制労働は重罪であるとしていることが窺えます。
 
2025年12月25日 14:07

労働基準法で保護される「労働者」とは?

労働基準法における「労働者」とは
労働基準法は、労働条件に関する最低条件を定めることで、使用者による不当な搾取を防ぎ、労働者の生活を保障するとともに、使用者に対して弱い立場にある労働者の権利の保護を目的とした法律です。
この目的を達成するために労働基準法は各種の規定を定め、その規定が適用される保護対象となる「労働者」について、第九条*1で定義しています。
*1:第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事業所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
条文によれば、保護の対象である「労働者」を「使用される者で、賃金を支払われる者」と定義しています。つまり、「労働者」であるか否かによって保護の対象になるか否かが決まるため、この「労働者」の定義は労基法にとって大変重要な事項なのです。
この定義に基づいて、労働基準法の「労働者」に当たるか否か、いわゆる「労働者性」は、㈠労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか。すなわち、他人に従属して労務を提供しているかどうか、㈡報酬が、「指揮監督下における労働」の対償として支払われているかどうかの二点(使用従属性)で判断されることとしています。
しかし、実際には指揮監督の程度及び態様の多様性、報酬の性格の不明確さ等から、「指揮監督下の労働であるか」、指揮監督下の労働の対償として「賃金支払」が行われているかということが明確性を欠き、判断が困難な場合があり、その場合、労働者性の判断に当たっては、契約の内容、労務提供の形態、報酬の労務対償性その他の要素から、総合判断することが必要とされています。
そこで、その総合判断の基準を明確にするために、「労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)」において、以下のように整理されています。
この判断基準は、昭和60年12月19日に示されたものですが、40年経った今日においても労働基準法の「労働者」の判断の具体的基準として用いられているものです。
○労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)
労働基準法研究会報告は、「使用従属性」すなわち前記㈠㈡の存在を判断するに当たって、㈠の存在については①「指揮監督下の労働」に関する判断基準、㈡の存在については②報酬の労務対償性に関する判断基準に照らして判断することとしています。つまり「労働者性」の有無を構成する「使用従属性」の判断は①「指揮監督下の労働」に関する判断基準と②報酬の労務対償性に関する判断基準によって行われるということです。
以下にそれぞれの判断基準の詳細について記載します。
◇労働者性の有無を構成する要素
1.「使用従属性」に関する判断基準
①「指揮監督下の労働」に関する判断基準
イ.仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
「使用者」の具体的な仕事の依頼、業務従事の指示等に対して諾否の自由を有していれば、指揮監督関係を否定する重要な要素となる。これに対して、これを拒否する自由を有しない場合は、一応、指揮監督関係を推認させる重要な要素となるが、当事者間の契約によってはそうではない場合もあるため、その場合でもその事実関係だけではなく、契約内容等も勘案する必要がある。
ロ.業務遂行上の指揮監督の有無
㋑業務内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
業務の内容及び遂行方法について「使用者」の具体的な指揮命令を受けていることは、指揮監督関係の基本的かつ重要な要素である。しかしながら、指揮命令の程度が問題であり、通常注文者が行う程度の指示等に止まる場合には、指揮監督を受けているとは言えない。
㋺その他
「使用者」の命令、依頼等により通常予定されている業務以外の業務に従事することがある場合には、「使用者」の一般的な指揮監督を受けているとの判断を補強する重要な要素となる。
ハ.拘束性の有無
勤務場所及び勤務時間が指定され、管理されていることは、一般的には、指揮監督関係の基本的な要素である。しかし、業務の性質や安全を確保する必要上等から必然的に勤務場所及び勤務時間が指定される場合があるため、この指定が業務の性質等によるものか、業務の遂行を指揮命令する必要によるものかを見極める必要がある。
ニ.代替性の有無(指揮監督関係の判断を補強する要素)
本人に代わって他の者が労務を提供することが認められているか否か、また、本人が自らの判断によって補助者を使うことが認められているか否か等、指揮監督関係そのものに関する基本的な判断基準ではないものの、労務提供に代替性が認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素(指揮監督関係の判断を補強する要素)のひとつとなる。
②報酬の労務対償性に関する判断基準
労働基準法研究会報告は、報酬の労務対償性に関する判断基準について以下のように記載しています。
「労働基準法第11条は、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と規定している。すなわち、使用者が労働者に対して支払うものであって、労働の対償であれば、名称の如何を問わず「賃金」である。この場合の「労働の対償」とは、結局において「労働者が使用者の指揮監督の下で行う労働に対して支払うもの」と言うべきものであるから、報酬が「賃金」であるか否かによって逆に「使用従属性」を判断することはできない。」
つまり、賃金か否かは使用従属性を判断した後に決まるものであるので、報酬が支払われていることを以て、賃金と推定して使用従属性を判断してはならないということです。
ただし、「・報酬が時間給を基礎として計算される等労働の結果による較差が少ない、・欠勤した場合には応分の報酬が控除され・いわゆる残業をした場合には通常の報酬とは別の手当が支給される等報酬の性格が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合には、「使用従属性」を補強することとなる。」
と報酬に関する使用従属性判断の補強要素を示しています。
2.「労働者性」の判断を補強する要素
上記の判断基準によっても使用従属性の判断が困難な場合の労働者性の補強要素として研究会報告は以下の要素を挙げ、判定はこれらの要素を含めた総合判断とすべきとしています。
  • 事業者性の有無
通常労働者は機械、器具、原材料等の生産手段を有しないが、例えば傭車運転手のように、相当高額なトラック等を所有して労務を提供する例があり、このような場合は上記1.「使用従属性」に関する判断基準のみをもって「労働者性」を判断することは適当でないことから、その者の以下のような「事業者性」の有無を併せて総合判断することが必要である。
  1. 機械、器具の負担関係
本人が所有する機械、器具が著しく高価な場合には自らの計算と危険負担に基づいて事業経営を行う「事業者」としての性格が強く、「労働者性」を弱める要素となる。
  1. 報酬の額
報酬の額が当該企業において同様の業務に従事している正規従業員に比して著しく高額である場合には、当該報酬は、労務提供に対する賃金ではなく、自らの計算と危険負担に基づいて事業経営を行う「事業者」に対する代金の支払と認められ、その結果、「労働者性」を弱める要素となる。
  1. その他
裁判例においては、業務遂行上の損害に対する責任を負う、独自の商号使用が認められている等の点を「事業者」としての性格を補強する要素(労働者性を弱める要素)としているものがある。
  • 専属性の程度
企業に対する専属性の有無は、直接に「使用従属性」の有無を左右するものではなく、特に専属性がないことをもって労働者性を弱めることとはならないが、「労働者性」の有無に関する判断を補強する要素のひとつとなる。
  1. 他社の業務に従事することが制度上制約され、また、時間的余裕がなく事実上困難である場合には、専属性の程度が高く、いわゆる経済的に当該企業に従属していると考えられ、「労働者性」を補強する要素のひとつとなる。
  2. 報酬に固定給部分がある、業務の配分等により事実上固定給となっている、その額も生計を維持しうる程度のものである等報酬に生活保障的な要素が強いと認められる場合には、「労働者性」を補強するものなる。
  • その他
裁判例においては、①採用、委託等の際の選考過程が正規従業員の採用の場合とほとんど同様であること、②報酬について給与所得としての源泉徴収を行っていること、③労働保険の適用対象としていること、④服務規律を適用していること、⑤退職金制度、福利厚生を適用していること等「使用者」がその者を自らの労働者と認識していると推認される点を、「労働者性」を肯定する判断の補強事由とするものがある。

労働基準法研究会報告においては、提示した判断基準を用いて具体的事例を挙げて、労働者性の判断を行っています。参考にしてください。
(事例1)傭車運転手A
1 事業等の概要
 ⑴ 事業の内容
建築用コンクリートブロックの製造及び販売
 ⑵ 傭車運転手の業務の種類、内容
自己所有のトラック(4トン及び11トン車、1人1車)による製品(コンクリ ートブロック)の運送
2 当該傭車運転手の契約内容及び就業の実態
⑴ 契約関係
書面契約はなく、口頭により、製品を県外の得意先に運送することを約したもので、その報酬(運賃)は製品の種類、行先及び箇数により定めている。
⑵ 業務従事の諾否の自由
会社は配車表を作成し、配車伝票によって業務を処理しており、一般的にはこれに従って運送していたが、時にこれを拒否するケース(特段の不利益取扱いはない。)もあり、基本的には傭車運転手の自由意思が認められている。
⑶ 指揮命令
運送業務の方法等に関して具体的な指揮命令はなく、業務遂行に当たって補助者を使用すること等も傭車運転手の自由な判断にまかされ、時に上記⑵の配車伝票に納入時刻の指定がされる程度で傭車運転手自身に業務遂行についての裁量が広く認められている。
⑷ 就業時間の拘束性
通常、傭車運転手は午後会社で積荷して自宅に帰り、翌日、自宅から運送先に直行しており、出勤時刻等の定め、日又は週当たりの就業時間等の定めはない。
⑸ 報酬の性格
報酬は運賃のみで、運賃には車両維持費、ガソリン代、保険料等の経費と運転業務の報酬が含まれていたと考えられるが、その区分は明確にされていない。
⑹ 報酬の額
報酬の額は月額約40万円と社内運転手の17~18万円に比してかなり高い。
⑺ 専属性
契約上他社への就業禁止は定めておらず、現に他の傭車運転手2名程度は他社の運送にも従事している。
⑻ 社会保険、税金等
社会保険、雇用保険等には加入せず(各人は国民健康保険に加入)、また報酬については給与所得としての源泉徴収が行われず、傭車運転手本人が事業所得として申告している。
3 「労働者性」の判断
⑴「使用従属性」について
①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由があること、②業務遂行についての裁量が広く認められており、他人から業務遂行上の指揮監督を受けているとは認められないこと、③勤務時間が指定、管理されていないこと、④自らの判断で補助者を使うことが認められており、労務提供の代替性が認められていること、から使用従属性はないものと考えられ、⑤報酬が出来高払いであって、 労働対償性が希薄であることは、当該判断を補強する要素である。
⑵ 「労働者性」の判断を補強する要素について ①高価なトラックを自ら所有していること、②報酬の額は同社の社内運転手に比してかなり高いこと、③他社への就業が禁止されておらず、専属性が希薄であること、④社会保険の加入、税金の面で同社の労働者として取り扱われていなかったことは「労働者性」を弱める要素である。
⑶ 結論 本事例の傭車運転手は、労働基準法第9条の「労働者」ではないと考えられる。
 
(事例2)傭車運転手B
1 事業等の概要
⑴ 事業の内容
主として公共土木工事の設計、施工
⑵ 傭車運転手の業務の種類、内容
会社施工の工事現場において土砂の運搬の業務に従事するいわゆる白ナンバーのダンプ運転手
2 当該傭車運転手の契約内容及び就業の実態
⑴ 傭車運転手は、積載量10トンのダンプカー1台を所有し、会社と契約して会社施工の工事現場で土砂運搬を行っている。契約書は作成しておらず、専属として土砂運搬を行うもので、本人が自己の意思で他社の建設現場ヘダンプ持ちで働きに行くことは暗黙のうちに会社を退社するに等しいものと考えられている。
 ⑵ ダンプを稼働した場合の報酬は1日につき35,000円であり、その請求は本人が毎月末に締め切って計算のうえ会社に対し行っている。会社は、この請求に基づいて稼働日数をチェックし、本人の銀行口座へ翌月10日に振り込んでいるが、 この報酬については、給与所得としての源泉徴収をせず、傭車運転手本人が事業所得として青色申告をしている。
 ⑶ 稼働時間は、午前8時から午後5時までとなっているが、ダンプによる土砂運搬がない場合は、現場作業員として就労することもできる。この場合には、賃金として1日につき5,500円が支払われる。したがって、本人は土砂運搬作業の有無にかかわらず、始業時間までに現場に出勤しており、現場では、いずれの場合にも現場責任者の指示を受け、出面表にはそれぞれの時間数が記録されている。 現場作業員として就労した場合の賃金は、一般労働者と同様、月末締切りで翌月 5 日に現金で支払われ、この分については、給与所得としての源泉徴収がされている。
⑷ ダンプの所有は傭車運転手本人となっており、ローン返済費(月15万円)、燃料費(月20日稼働で15~16万円)、修理費、自動車税等は本人負担となっている。
⑸ 社会保険、雇用保険には加入していない。
3 「労働者性」の判断
⑴ 「使用従属性」について
①業務遂行について現場責任者の指示を受けていること、②土砂運搬がない場合は、現場責任者の指示を受け現場作業員として就労することがあること、③勤務時間は午前8時から午後5時までと指定され、実際の労働時間数が現場において出面表により記録されていること、に加え、④土砂運搬の報酬は下記⑵でみるようにかなり高額ではあるが、出来高ではなく日額で計算されていることから、 「使用従属性」があるものと考えられる。
⑵ 「労働者性」の判断を補強する要素について
①高価なトラックを自ら所有していること、②報酬の額は月20日稼働で70万 円(ローン返済費及び燃料費を差し引くと約40万円)であって、その他の事情を考慮してもかなり高額であること、③社会保険の加入、税金の面で同社の労働者として取り扱われていないことは「労働者性」を弱める要素ではあるが、上記 ⑴による「使用従属性」の判断を覆すものではない。
⑶ 結論
本事例の傭車運転手は、労働基準法第9条の「労働者」であると考えられる。
 
(事例3)在宅勤務者A
1 事業等の概要
⑴ 事業の内容
ソフトウエアの開発、計算業務の受託、電算室の総括的管理運営
⑵ 在宅勤務者の業務の種類、内容
会社よりミニフアックスで伝送される仕様書等に基づき、プログラムの設計、コーデイング、机上でのデバッグを行う。
2 在宅勤務者の契約内容及び就業の実態
⑴ 契約関係
期間の定めのない雇用契約により、正社員として採用している。
⑵ 業務の諾否の自由
会社から指示された業務を拒否することは、病気等特別な理由がない限り、認められていない。
⑶ 指揮命令
業務内容は仕様書等に従ってプログラムの設計等を行うことであり、定形化しており、通常、細かな指示等は必要ない。なお、10日に1回出社の義務があり、 その際、細かい打合せ等をすることもある。
⑷ 就業時間の拘束性
勤務時間は、一般従業員と同じく午前9時から午後5時(休憩1時間)と決められており、労働時間の管理、計算は本人に委ねている。
⑸ 報酬の性格及び額
報酬は、一般従業員と同じく月給制(固定給)である。
⑹ 専属性
正社員であるので、他社への就業は禁止されている。
⑺ 機械、器具の負担
末端機器及び電話代は、会社が全額負担している。
3 「労働者性」の判断
⑴ 「使用従属性」について
①業務の具体的内容について、仕様書等により業務の性質上必要な指示がなされていること、②労働時間の管理は、本人に委ねられているが、勤務時間が定められていること、③会社から指示された業務を拒否することはできないこと、に加えて、④報酬が固定給の月給であることから、「使用従属性」があるものと考えられる。
⑵ 「労働者性」の判断を補強する要素について
①業務の遂行に必要な末端機器及び電話代が会社負担であること、②報酬の額が他の一般従業員と同等であること、③正社員として他社の業務に従事することが禁止されていること、④採用過程、税金の取扱い、労働保険の適用等についても一般従業員と同じ取扱いであることは、「労働者性」を補強する要素である。
⑶ 結論
本事例の在宅勤務者は、労働基準法第9条の「労働者」であると考えられる。
 
(事例4)在宅勤務者B
1 事業等の概要
⑴ 事業の内容
速記、文書処理
⑵ 在宅勤務者の業務の種類、内容
元正社員であった速記者が、会議録等を録音したテープを自宅に持ち帰り、ワープロに入力する。
2 在宅勤務者の契約内容及び就業の実態
⑴ 契約関係
「委託契約」により、納期まで1週間~1か月程度の余裕のある仕事を委託しており、納期の追っているものは正社員にやらせている。
⑵ 業務の諾否の自由
電話により又は出社時に、できるかどうかを確認して委託している。
⑶ 指揮命令
業務の内容が定形化しており、個々具体的に指示することは必要なく、週1回 程度の出社時及び電話により進捗状況を確認している。
⑷ 就業時間の拘束性
勤務時間の定めはなく、1日何時間位仕事ができるかを本人に聴き、委託する量を決める。
⑸ 報酬の性格及び額
在宅勤務者個々人についてテープ1時間当たりの単価を決めており、テープの 時間数に応じた出来高制としている。
⑹ 機械、器具の負担
会社がワープロを無償で貸与している。
⑺ その他
給与所得としての源泉徴収、労働保険への加入はしていない。
3 「労働者性」の判断
⑴ 「使用従属性」について
①会社からの委託を断ることもあること、②勤務時間の定めはなく、本人の希望により委託する量を決めていること、③報酬は、本人の能力により単価を定める出来高制であること、④業務の具体的内容、その遂行方法等について特段の指示がないことから、「使用従属性」はないものと考えられる。
⑵ 「労働者性」の判断を補強する要素について
業務の遂行に必要なワープロは会社が負担しているが、他に「労働者性」を補強する要素はない。
⑶ 結論
本事例の在宅勤務者は、労働基準法第9条の「労働者」ではないと考えられる。
 
以上、労働基準法研究会報告は、4事例を挙げて労働者性の判断をして見せています。記述内容を順に読んでいくと、その論理展開に納得してしまいますが、それは研究会の委員はそれぞれ高度な知識と経験を有するが故に論理的な判断ができるのだと思います。新たに労働者性を判断しなければならない場面が発生した場合においては、既述の基準に基づいて考慮するものであるということを基礎知識として持っておき、行政官庁に相談しつつ行う必要があり、独自で判断を行うことには困難が伴うものと思われます。
 
○令和7年1月8日労働基準関係法制研究会報告書
これまで昭和60年12月19日労働基準法研究会報告において提示されている「労働者」の判断基準について記載してきました。この報告については、冒頭にも記載したとおり公表から40年が経過しており、現在までの間の働き方の変化や多様化に対応しきれない部分が生じていることから、労働基準関係法制研究会報告書が令和7年1月8日に公表されています。
この報告書によると、昭和60年からの40年間に産業構造の変化、働き方の多様化、デジタル技術の急速な発展、またサービス産業の拡大による産業構造の変化により多種多様な働き方が増えることで、労働者性の境界に位置するような働き方もまた増加してきたし、新型コロナウイルス感染症のまん延を契機にテレワークが幅広く定着し、 場所にとらわれない働き方の拡大といった変化が起こり、労働者性判断のわかりにくさが増大し、予見可能性が低下しているとの記述がされています。
また、こうした状況の中において、新しい働き方への対応や、実態として「労働者」である者に対し労働基準法を確実に適用する観点から、労働者性判断の予見可能性を高めていくことが求められている。とし、さらに、現行の労働基準法第9条の規定の下で、具体的な労働者性判断が適正に、予見可能性を高めた形で行われるために、どのような対応が必要か検討するべきである。
としていることから、従来の労働者性の判断基準の改定を行う計画があることを窺うことができます。
2025年12月18日 14:20

労働基準法第三十七条 割増賃金の解説

労働基準法第三十七条 時間外、休日及び深夜の割増賃金
労働基準法第三十七条は、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する使用者への割増賃金の支払い義務を規定しています。時間外労働や休日労働に対する割増賃金の支払いは、通常の勤務時間とは違うこれらの特別の労働に対する労働者への補償を行うとともに、使用者に対し、経済的負担を課すことによってこれらの労働を抑制することで、法定労働時間制又は週休制の原則を維持するためのものであり、深夜労働の割増賃金の支払いは、労働時間の位置が深夜という時刻にあることに基づき、その労働の強度等に対する労働者への補償とされています。
割増率については、法条文においては「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率」とされていますが、具体的な率は、「労基法第三十三条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)又は第三十六条第一項(時間外及び休日の労働)の規定により延長した労働時間の労働については二割五分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする。」と政令によって示され、深夜時間の労働については、「通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率」と法第三十七条第四項において規定されています。
なお、平成二十年の改正で法第三十七条第一項ただし書において、長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保して仕事と生活の調和の実現のために1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率について、「通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率」と規定されました。この場合において、割増分の休暇(代替休暇)の付与で割増賃金の支払いに代えることができるとの規定が追加されています。
○割増賃金を支払わなければならない場合
㈠時間外労働
二割五分以上の割増賃金を支払わなければならない時間外労働とは、①災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要があり、行政官庁の許可を得た場合(労基法33条第一項)、②公務のために臨時の必要がある場合(労基法33条第三項)、又は③三六協定を締結して行政官庁に届出た場合(労基法36条第一項)のいずれかにおいて、法定労働時間(労基法32条~32条の5、40条)を超えた時間の労働のことです。したがって、就業規則その他に定めがある場合を除いて所定労働時間を超え、法定労働時間内の法内残業に対しては割増賃金を支払う義務はありません。
割増賃金の割増率について労基法では、「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」と政令に委ねています。そして政令においては、「労働基準法第三十七条第一項の政令で定める率は、同法第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長した労働時間の労働については二割五分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする。」と規定されています。したがって、時間外労働に対する割増率は二割五分以上ということになっています。
なお、時間外労働が深夜に及ぶ場合は、割増賃金率が重複(二割五分+二割五分)するものとして「五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と施行規則第二十条第一項に規定されています。
㈡休日労働
休日労働とは、労基法第三十五条規定の法定休日(一週間に一回又は四週間に四日)に労働することです。したがって多くの企業が採用している週休二日制においては、就業規則その他に定めがある場合を除いて休日のうちいずれか一方が休日の割増賃金の対象となり、他方には支払い義務はありません。
ただし、他方の休日が属する週において四十時間を超えると時間外労働となり時間外労働の割増賃金の支払い対象です。
休日労働の割増率については、前記政令より三割五分以上とされています。
なお、法定休日労働が深夜時間帯に及ぶ場合は、割増賃金率が重複(三割五分+二割五分)するものとして「六割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と施行規則第二十条第二項に規定されています。ただし、法定休日に時間外労働を行った場合であっても、割増賃金率の重複とはならず三割五分以上のままです。
 
㈢六十時間超の時間外労働
労働基準法第三十七条ではそのただし書において、一箇月について六十時間を超えて時間外労働をさせた場合には、その超えた時間の労働について、法定割増賃金率を二割五分以上から五割以上の率に引上げることが規定されています。
これは、少子高齢化が進行し労働力人口が減少する中で、子育て世代の男性を中心に、長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移していることを背景として、割増賃金による使用者の経済的負担を加重することによって特に長い時間外労働を強く抑制するために設けられたものです。
また、労働基準法はその第三十七条第三項において、一箇月について六十時間を超える時間外労働をさせた労働者の健康を確保する観点から、労使協定により法定割増賃金率の引き上げ分の割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を与えることができるとした代替休暇の制度を規定しています。これによって、特に長い時間外労働をさせた労働者に休息の機会を与えることができることとされましたが、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務づけるものではなく、労使協定が締結されている事業場において、個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思によるものとされています。
なお、一箇月について六十時間を超えて時間外労働をさせた時間が深夜時間帯に及ぶ場合は、割増賃金率が重複(五割+二割五分)するものとして「七割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と施行規則第二十条第一項に規定されています。
 
㈣深夜労働
深夜労働とは、午後10時から午前5時まで(厚労大臣の指定で11時~6時)の時間帯に労働することです。使用者がその時間帯に労働させた場合には、その時間帯の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないことが労基法第三十七条第四項に定められています。
変形労働時間制やフレックスタイム制でも、深夜に労働が及べば支払いの対象です。また、労基法第四十一条(労働時間に関する規定の適用除外)に該当する場合は、時間外・休日労働に対する割増賃金を支払わなくてもよいのですが、深夜労働に対する割増賃金は支払わなければなりません。
○割増賃金の計算方法と算定基礎
㈠割増賃金の計算方法と算定基礎
割増賃金は「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」*1を基礎に計算されます。
*1:労働基準法施行規則第十九条
第十九条 法第三十七条第一項の規定による通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によって延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの労働時間数を乗じた金額とする。
①一 時間によって定められた賃金については、その金額
 二 日によって定められた賃金については、その金額を一日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異る場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除した金額
 三 週によって定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によって所定労働時間数が異る場合には、四週間における一週平均所定労働時間数)で除した金額
 四 月によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額
 五 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額
 六 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額
 七 労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によってそれぞれ算定した金額の合計額
② 休日手当その他前項各号に含まれない賃金は、前項の計算においては、これを月によって定められた賃金とみなす。
つまり、割増賃金は「施行規則第十九条第一項各号に規定された金額」×「時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数」×割増率で計算されます。
ここで、「通常の労働時間又は労働日の賃金」とは、割増賃金を支払うべき労働(時間外・休日・深夜の労働)が深夜でない所定労働時間中に行われた場合に支払われる賃金をいいます。
通達に例示がありますので、紹介します。
「通常の労働時間又は労働日の賃金」とは、
割増賃金を支払うべき労働(時間外、休日又は深夜の労働)が
深夜でない所定労働時間中に行われた場合に支払われる賃金である。
例えば、
所定労働時間中に甲作業に従事し、
時間外に乙作業に従事したような場合には、
その時間外労働についての「通常の労働時間又は労働日の賃金」とは、
乙作業について定められている賃金である。
したがって、
割増賃金を支払うべき時間にいわゆる特殊作業に従事した場合において、
特殊作業についていわゆる特殊作業手当が加給される定めになっているときは、
その特殊作業手当は、当然「通常の労働時間又は労働日の賃金」に含まれる。
㈡算定基礎から除外される賃金
割増賃金の算定基礎から除外されるのは、労基法第三十七条第五項において、「家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金*2」とされています。
*2:労働基準法施行規則第二十一条
第二十一条 法第三十七条第五項の規定によって、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第一項及び第四項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
一 別居手当
二 子女教育手当
三 住宅手当
四 臨時に支払われた賃金
五 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当および住宅手当は、労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されている賃金であり、臨時に支払われた賃金及び一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は計算技術上の困難があるために除外することとされています。またこれらの手当は例示ではなく限定的に列挙されているものですので、これらの手当に該当しない「通常の労働時間又は労働日の賃金」はすべて参入しなければならないとされています。なお、これら除外される手当は「名称にかかわらず実質によって取り扱うこと*3」と通達されています。
*3:例)家族手当に関して、扶養家族の有無、家族の人数に関係なく一律に支給するもの(扶養家族の人数に関係なく、一律2万円を支給するような場合)
    通勤手当に関して、通勤に要した費用や通勤距離に関係なく一律に支給するもの(通勤に要した費用や通勤距離に関係なく1日500円を支給するような場合)
    住宅手当に関して、住宅の形態ごとに一律に定額で支給するもの      (賃貸住宅居住者には3万円、持家居住者には2万円を支給するような場合)
は、同名称を称していても実質として労基法のいう手当に該当しないため、除外できず、割増賃金の基礎に参入しなければなりません。
○六十時間超の時間外労働に対する代替休暇
先に一箇月に六十時間を超えて時間外労働をさせた場合の割増率の引き上げについて記載しました。この引上げ分については金銭での支払いが通常なのですが、所定の事
項*4を定めた労使協定を締結すれば代替休暇の付与に代えることが可能とされています。
*4:労働基準法施行規則第十九条の二第一項
第十九条の二 使用者は、法第三十七条第三項の協定(労使委員会の決議、労働時間等設定改善委員会の決議及び労働時間等設定改善法第七条の二に規定する労働時間等設定改善企業委員会の決議を含む。)をする場合には、次に掲げる事項について、協定しなければならない。
一 法第三十七条第三項の休暇(以下「代替休暇」という。)として与えることができる時間の時間数の算定方法
二 代替休暇の単位(一日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた一日又は半日を含む。)とする。)
三 代替休暇を与えることができる期間(法第三十三条又は法第三十六条第一項の規定によつて延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた当該一箇月の末日の翌日から二箇月以内とする。)
なお、この労使協定については行政官庁に届出る必要はありません。
㈠代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法時間数の算定方法は労基則第十九条の二第二項において、以下の算式で算定することとされています。
「時間数」=(一箇月の時間外労働時間数―六十時間)×換算率*
*:換算率=「労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率(五割以上)」―「労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率(二割五分以上)」
ex)一箇月の時間外労働時間数80時間、休暇を取得しなかった場合の割増率5割、休暇を取得した場合の割増率二割五分とすると、(80-60)×(0.5-0.25)=5
㈡代替休暇の単位
代替休暇は、まとまった単位で与えられることで労働者の休息の機会となることから、一日又は半日を単位として定める必要があるとされています。「一日」とは所定労働時間、「半日」とはその二分の一ことですが、代替休暇として与えることができる時間の時間数が労使協定で定めた代替休暇の単位(一日又は半日)に達しない場合であっても、「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(例:特別休暇や年休等)」と合わせて与えることができる旨を労使協定で定めたときは、この休暇と代替休暇とを合わせて一日又は半日の休暇を与えることができるとされています。
㈢代替休暇を与えることができる期間
代替休暇を与えることができる期間は、特に長い時間外労働が行われた月から一定の近接した期間に与えられることで労働者の休息の機会となることから、時間外労働が一箇月について六十時間を超えた当該一箇月の末日の翌日から二箇月以内とされており、労使協定ではこの範囲内で定める必要があるとされています。
なお、労使協定で一箇月を超える期間が定められている場合、前々月の時間外労働に対応する代替休暇と前月の時間外労働に対応する代替休暇とを合わせて一日又は半日の代替休暇として取得することができるとされています。
㈣代替休暇の取得日及び割増賃金の支払日
労使協定に定める事項として上記㈠~㈢が施行規則に規定されていますが、賃金の支払額を早期に確定させる観点から、労使協定で定められるべきものとして施行規則に規定されているものではありませんが、以下の事項が通達において挙げられています。
①労働者の意向を踏まえた代替休暇の取得日の決定方法
労働者の代替休暇取得の意向については、一箇月について六十時間を超えて時間外労働をさせた当該一箇月の末日からできる限り短い期間内において、確認するものとし、代替休暇を取得するかどうかは、労働者の判断によるため、代替休暇が実際に与えられる日は、当然、労働者の意向を踏まえたものとする必要があるとされています。
②一箇月について六十時間を超える時間外労働に係る割増賃金の支払日
一箇月について六十時間を超える時間外労働に係る割増賃金の支払日については、労働者の代替休暇取得の意向に応じて次のようにする必要があるとされています。
  1. 労働者に代替休暇取得の意向がある場合には、現行でも支払い義務がある二割五分以上の割増賃金について、当該割増賃金が発生した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払う必要がある。
    なお、代替休暇取得の意向があった労働者が実際には代替休暇を取得できなかったときには、法定割増賃金率の引き上げ分の割増賃金について、労働者が代替休暇を取得できないことが確定した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払う必要がある。
  B.上記A以外の場合(労働者に代替休暇取得の意向がない場合、労働者の意向が確認できない場合等)には、法定割増賃金率の引き上げ分も含めた割増賃金(五割以上
             の割増賃金)について、当該割増賃金が発生した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払う必要がある。
             なお、法定割増賃金率の引き上げ分も含めた割増賃金が支払われた後に、労働者から代替休暇取得の意向があった場合には、代替休暇を与えることができる期間として
             労使協定で定めた期間内であっても、労働者は代替休暇を取得できないこととすることを労使協定で定めても差し支えないとされていて、 また、このような法定割増賃
             金率の引き上げ分も含めた割増賃金が支払われた後に労働者から代替休暇取得の意向があった場合について、代替休暇を与えることができる期間として労使協定で定め
            た期間内であれば労働者は代替休暇を取得できることとし、労働者が実際に代替休暇を取得したときは既に支払われた法定割増賃金率の引き上げ分の割増賃金について
            精算することとすることを労使協定で定めることも妨げられるものではないとされています。
○罰則
           使用者が労基法第三十七条に違反して割増賃金を支払わない場合は、六ヶ月以下の懲役又は三十万円以下の罰金の罰則が規定されています。
           また、割増賃金を支払わなかった使用者に対して、裁判所は労働者の請求により未払いの割増賃金のほか、これと同一額の付加金の支払いを命ずることができると労基
           法第百十四条に定められています。
2025年12月09日 13:47

母性保護に重点!労働基準法第六条の二 妊産婦等

○労基法第六章の二 妊産婦等
労働基準法が制定・施行された当初(戦後)は、女性労働者については出産等の母性機能を持ち、また男性労働者に比べて体力的に劣るとの認識に基づき、年少者と同様の特別な保護を行うために「女子及び年少者」という章を設けて労働条件及び母性保護の両面において保護を図っていました。
しかし、女性の高学歴化や職場進出等の国内事情の変化、1975年の国際婦人年宣言や、女子差別撤廃条約の採択等、女性労働者に対して母性保護を除き特別な保護よりも男女平等を徹底すべきという国際的動きを背景として、労基法における女性保護規定の研究報告がなされ、女性保護規定の見直しや雇用分野における男女の平等法制定の必要性が提言されました。
このような保護か平等かが大きな争点となっていた状況の中で、①女性に対する特別な保護措置は、女性の能力発揮や職業選択の幅を狭める場合があり、母性保護は別として、本来廃止すべきものである。また、②労働時間をはじめとした労働条件など労働環境や女性が家庭責任を負っている状況を考慮し、かつ女性の就業と家庭生活との両立を可能とするための条件整備措置をとることが必要との基本的立場が示され、男女雇用機会均等法が成立、それに伴って労基法も改正、女性保護規定は一般女性への保護規制が大幅に緩和され、主に妊産婦への保護および女性の母性機能保護に関する規定となり、第六章の二の表題も「女性」から「妊産婦等」に変更となりました。
○保護規定
労基法第六章の二においては、先にも記載のとおり主に妊産婦の保護、また一部一般女性にも適用される保護を規定しています。その内容を以下に列挙します。
㈠抗内業務の就業制限
・保護対象:①妊娠中の女性(妊婦)*0、②出産後1年以内の女性(産婦)*1、③①②以外の満18歳以上の女性
*0:「妊娠中の女性については、坑内労働に就かせてはならないが、女性労働者が妊娠しているか否かについて事業主は早期に把握し、適切な対応を図ることが必要であり、そのため、事業場において女性労働者からの申出、診断書の提出等所要の手続きを定め、適切に運用されることが望ましいこと。」との通達があります。
*1:抗内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出ることが必要
・保護内容:①②の女性を抗内で行われるすべての業務に就かせてはならない。
      ③の女性を抗内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として定められた業務*2に就かせてはならない。
※「坑内」とは、「労働基準法における抗とは鉱山についていえば一般に地下にある鉱物を試掘又は採掘する場所及び地表に出ることなしにこの場所に達するためにつくられる地下の通路をいう。当初から地表に貫通するためにつくられ、かつ、公道と同様程度の安全衛生が保障されており、かつ、抗内夫以外の者の通行が可能である地下の通路は労働基準法上の抗ではない。本来地下にある鉱物を試掘又は採掘する場所に達するためにつくられた地下の通路がたまたま地表に貫通しても、あるいは、地勢の関係上部分的に地表にあらわれても、これが公道と同様な程度の安全衛生を保障されるに至り、かつ坑内夫以外の者の通行が可能である通路に変化しない限り労働基準法上の抗である性質は変化しない。」と通達されています。そして、鉱山以外の建設中の隧道内部が抗に該当するかについての判断は、これに準じてすべきとされています。
*2:・人力により行われる土石、岩石若しくは鉱物(以下「鉱物等」という。)の掘削又は掘採の業務
    ・動力により行われる鉱物等の掘削又は掘採の業務(遠隔操作により行うものを除く。)
    ・発破による鉱物等の掘削又は掘採の業務
           ・ずり、資材等の運搬若しくは覆工のコンクリートの打設等鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務(鉱物等の掘削又は掘採に係る計画の作成、工程管理、品                 質管理、安全管理、保安管理その他の技術上の管理の業務並びに鉱物等の掘削又は掘採の業務に従事する者及び鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務に                  従事する者の技術上の指導監督の業務を除く。)

㈡危険有害業務の就業制限
・保護対象:①妊娠中の女性(妊婦)及び②出産後1年以内の女性(産婦)、③妊娠中の女性及び出産後1年以内の女性以外の女性(その他の女性)
・保護内容:①②③の女性について、・就かせても差支えない業務・女性が申し出た場合就かせてはならない業務・女性を就かせてはならない業務に区分して、女性則において        規定*3しています
*3:(別表1・2)参照
(別表1)重量物を取り扱う業務    
年齢 重量(単位 ㎏)
断続作業の場合 継続作業の場合
満16歳未満 12以上 8以上
満16歳以上満18歳未満 25以上 15以上
満18歳以上 30以上 20以上
 
(別表2)妊産婦等の就業制限の業務  
  女性労働基準規則第二条第一項の業務 ①妊婦 ②産婦 ③その他の女性
重量物を取り扱う業務 × × ×
ボイラーの取扱いの業務 ×
ボイラーの溶接の業務 ×
つり上げ荷重が五トン以上のクレーン若しくはデリツク又は制限荷重が五トン以上の揚貨装置の運転の業務 ×
運転中の原動機又は原動機から中間軸までの動力伝導装置の掃除、給油、検査、修理又はベルトの掛換えの業務 ×
クレーン、デリツク又は揚貨装置の玉掛けの業務(二人以上の者によつて行う玉掛けの業務における補助作業の業務を除く。) ×
動力により駆動される土木建築用機械又は船舶荷扱用機械の運転の業務 ×
直径が二十五センチメートル以上の丸のこ盤(横切用丸のこ盤及び自動送り装置を有する丸のこ盤を除く。)又はのこ車の直径が七十五センチメートル以上の帯のこ盤(自動送り装置を有する帯のこ盤を除く。)に木材を送給する業務 ×
操車場の構内における軌道車両の入換え、連結又は解放の業務 ×
蒸気又は圧縮空気により駆動されるプレス機械又は鍛造機械を用いて行う金属加工の業務 ×
十一 動力により駆動されるプレス機械、シヤー等を用いて行う厚さが八ミリメートル以上の鋼板加工の業務 ×
十二 岩石又は鉱物の破砕機又は粉砕機に材料を送給する業務 ×
十三 土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さが五メートル以上の地穴における業務 ×
十四 高さが五メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務 ×
十五 足場の組立て、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く。) ×
十六 胸高直径が三十五センチメートル以上の立木の伐採の業務 ×
十七 機械集材装置、運材索道等を用いて行う木材の搬出の業務 ×
十八 次の各号(略・女性則第二条第一項第十八号参照)に掲げる有害物を発散する場所の区分に応じ、それぞれ当該場所において行われる当該各号に定める業務 × × ×
十九 多量の高熱物体を取り扱う業務 ×
二十 著しく暑熱な場所における業務 ×
二十一 多量の低温物体を取り扱う業務 ×
二十二 著しく寒冷な場所における業務 ×
二十三 異常気圧下における業務 ×
二十四 さく岩機、(ビヨウ)打機等身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務 × ×
  ○:女性を就かせても差支えない業務、△:女性が申し出た場合就かせてはならない業務、×:女性を就かせてはならない業務      

㈢産前産後
・保護対象:①6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性*4
      *4:使用者への請求が必要
      ②産後8週間を経過しない女性
・保護内容:①の女性について、女性から請求があった場合に、その者を就業させてはならない。(産前休業)女性が請求をしない場合には就業させることができる。
      ②の女性について、就業させてはならない。(産後休業)産後休業は女性からの請求の有無に関わらず、就業禁止です。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合に、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは可能です。

㈣軽易業務への転換
・保護対象:妊娠中の女性*5
*5:使用者への請求が必要
・保護内容:他の軽易な業務に転換させなければならない。
通達では、法は原則として女性が請求した業務に転換させる趣旨であるが、新たに軽
易な業務を創設して与える義務まで課したものではないとされています。

㈤妊産婦の労働時間
・保護対象:妊娠中の女性及び出産後1年以内の女性(妊産婦)*6
*6:使用者への請求が必要
・保護内容:①1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制の適用がある場合でも、法定労働時間(8H/日・40H/週)を超
      えて労働させることはできない。
      ②災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合、公務のため臨時の必要がある場合及び時間外労働・休日労働に関する協定が締結されてい
       る場合であっても、時間外又は休日に労働させることはできない。
       ③深夜時間帯に労働させることはできない。
なお、時間外労働、休日労働又は深夜業に関して、「時間外労働若しくは休日労働についてのみの請求、深夜業についてのみの請求又はそれぞれについての部分的な請求も認められ、使用者はその請求された範囲で妊産婦をこれらに従事させなければ足りるものである。請求内容の変更があった場合にも同様である。」との通達が発出されています。
※妊産婦が労基法第四十一条の「労働時間に関する規定の適用除外」に該当する場合には、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用されないが、深夜業に関する規定は適用されるため、①②は適用されないが、③は適用されることになります。

㈥育児時間
・保護対象:生後満1年に達しない生児を育てる女性*7
*7:使用者への請求が必要
・保護内容:労基法第三十四条に定められた休憩時間とは別に、1日に2回各々30分以上*8、その生児を育てる時間(育児時間)*9を与えなければならない。
*8:    「育児時間は、労働時間の始め、途中、終わりのいずれの時間に与えてもよい。育児時間を有給とするか否かは、当事者の自由であり無給でもよい。」
      との通達があります。これに関しては、法は育児時間の回数及び最低時間数を定めてはいますが、それがいつ与えられるかは定めていないため、基本的には当事
      者の合意によります。したがって、女性労働者が希望する場合、まとめて1日1時間の育児時間を与えることもできるとされています。
      「託児所の施設がある場合に往復時間も30分の育児時間に含まれると解する取扱いは違法ではないが、往復時間を除けば育児時間がかなり短くなるため、往復の
      所要時間を除き実質的な育児時間が与えられることが望ましい。」
      また、「1日の労働時間を8時間とする通常の勤務態様を予想し、その間に1日2回の育児時間の付与を義務づけるものであって、1日の労働時間が4時間以内である
      ような場合には、1日「1回」の育児時間の付与をもって足りる。」との通達が発出されています。
*9:生児への哺乳その他の世話のための時間

㈦生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置
・保護対象:生理日の就業が著しく困難な女性*10
*10:   生理日において下腹痛、腰痛、頭痛等の強度の苦痛により、就業の困難な女性をいう。
      使用者への請求が必要
・保護内容:生理日に就業させてはならない。*11
      「女性が現実に生理日の就業が著しく困難な状態にある場合に休暇の請求があったときはその者を就業させてはならないこととしたものであり、生理であること
      のみをもって休暇を請求することを認めたものではないことはいうまでもないこと。」と通達されていて、あくまでも「生理日の就業が著しく困難な女性に対す
      る措置」であることが強調されています。
なお、休暇中の賃金については、法においては支払いを義務づけてはいないことから、有給でも無給でも差支えありませんが、休暇日数に応じて就業規則その他により精皆勤手当を減額したり、特別手当金の算定の出勤率計算に当たって欠勤として扱うことについて「当該女性に著しい不利益を課すことは法の趣旨に照らし好ましくない。」と通達されていて、判例においても、女性への不利益取扱いが生理休暇の取得を困難としたり、権利の行使を抑制するような場合には、法の趣旨を失わせるものとして無効とされています。
*11:休暇の日数については、「生理期間、その間の苦痛の程度あるいは就労の難易は各人によって異なるものであり客観的な一般基準は定められない。したがって就業規則
   その他によりその日数を限定することは許されない。ただし、有給の日数を定めておくことはそれ以上休暇を与えることが明らかにされていれば差支えない。」との通
   達が発出されています。
      
生理日の就業が著しく困難かどうかについては、「生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならないが、その手続きを複雑にすると、制度の趣旨が抹殺されることになるから、原則として特別の証明がなくても女性労働者の請求があった場合には、これを与えることにし、特に証明を求める必要が認められる場合であっても、医師の診断書のような厳格な証明を求めることなく、一応事実を推断せしめるに足れば充分であるから、例えば同僚の証言程度の簡単な証明によらしめること。」との通達があります。
 
休暇の付与単位については、「休暇の請求は、就業が著しく困難である事実に基づき行われるものであることから、必ずしも暦日単位で行われなければならないものではなく、半日又は時間単位で請求した場合には、使用者はその範囲で就業させなければ足りるものである。」との通達が発出されています。
 
 
○罰則:第六十四条の二(抗内業務の就業制限)規定への違反については1年以下の懲役または50万円以下の罰金、第六十四条の三(危険有害業務の就業制限)
    第六十五条(産前産後)第六十六条(妊産婦等の労働時間等)第六十七条(育児時間)規定への違反については6か月以下の懲役または30万円以下の罰金、
    第六十八条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)規定への違反については30万円以下の罰金が定められています。
2025年11月20日 11:29

出来高払制その他の請負制で使用する労働者の保障給

○出来高払制その他の請負制で使用する労働者への保障給
労働基準法においては、出来高払制を請負制の一種と位置づけ、その賃金の扱いについて規定しています。
請負制とは、一定の労働の成果又は出来高に対して賃率を定める賃金額決定方法のことをいいます。特に営業職やトラックドライバー、保険募集人など、労働者個人の力量のみで成果を算出でき、また成果が明確に見える職種でよく採用されています。この労働者が行った仕事の量に応じて賃金を支払う出来高払制の賃金は、①仕事の単位量に対する賃金を不当に低く定めて、労働者を過酷な重労働に追いやる。②一定量の仕事につき、その一部に不出来があった場合に、その全部を未完成として、これに対する賃金を支払わず、労働者の生活を困窮に陥れる。等多くの弊害が見られ、劣悪な労働条件の基盤を成すとされていました。
このことから労働基準法では、その第二十七条において、労働者の最低水準の生活を保障すべく、次のように規定しています。
第二十七条:(出来高払制の保障給)出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
この規定によって、使用者に労働時間に応じて一定額の賃金保障を行うことを義務づけているのです。
 
○労働時間に応じた保障
第二十七条においては、「労働時間に応じ」とあるとおり、使用者は労働時間に応じた保障をしなければなりません。したがって、一時間につきいくらと定める時間給であることを原則とし、労働者の労働時間の長短と無関係に一か月についていくらを保障するようなものは、第二十七条の保障給に則ったものではありません。ただし、月、週その他一定期間について保障給を定める場合であっても、この保障給について基準となる労働時間数(一般的には所定労働時間)が設定され、労働者の実労働時間数がこの基準を上回った場合には、上回った時間数に応じて増額されるようなものは、保障給に則したものとされます。なお、労働者の実労働時間数がこの基準となる労働時間数を下回った場合に、その下回った時間数に応じて減額されないものは、厳密には労働時間に応じているとはいえませんが、減額されないから保障給ではないと否定するのは妥当ではなく、増額措置がとられている限り、保障給とみて差支えないとされています。
以上、労働時間に応じた保障について記載しましたが、「労働者が就業しなかった」場合であっても保障をしなければならないのでしょうか。第二十七条は「労働時間に応じ」とあるとおり、労働者が就業することを前提とした規定ですので、労働者が就業しなかった場合、それが労働者の責によるものであるときは、使用者は賃金支払いの義務はないから、保障給についても当然に支払うことを要しません。通達においても「労働者が労働しなかった場合には本条の保障給の支払い義務はない。」とされています。
なお、「使用者の責に帰すべき事由」によって就業できなかった場合には、第二十六条の休業手当の規定が適用されますので、使用者に保障給の支払義務が生じるのは、労働者が就業したにもかかわらず、材料不足、停電、機械の故障等のため手待ち時間が多く、または、原料粗悪等のため出来高が減少し賃金が低下した場合のように、実収賃金が低下した場合が該当します。では、労働者の非効率が原因で実収賃金が低下した場合はどうなのでしょうか。通達に「本条は労働者の責にもとづかない事由によつて、実収賃金が低下することを防ぐ主旨であるから、労働者に対し、常に通常の実収賃金を余りへだたらない程度の収入が保障されるやうに保障給の額を定めるやうにすること。」とあることから、別見解も存在しますが、労働者自身の勤務態度、能力、作業の遅さ等、労働者の責めに帰すべき事由によって出来高が少なく、実収賃金が減少した場合には、使用者に保障給を支払う義務は生じないと思われます。ただし、労働者の責めに帰すべき事由の存在を客観的に立証することには、困難が伴うものと思われますので、短絡的に労働者の非効率として処理してしまうことには注意が必要です。
 
○一定の賃金
保障給の額については、条文には「労働時間に応じ一定の賃金」とあるだけで、または、通達において「常に通常の実収賃金と余りへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定める」こととされています。
しかしこれは具体的規定ではありませんので、大体の目安として、労働者が就業している場合の規定である本条の保障給は、休業の場合に関して第二十六条が平均賃金の100分の60以上の休業手当の支払いを要求していることから休業手当を下回らないことが妥当であり、また、当然に最低賃金法の定める最低賃金以上でなければならないとされています。
なお、「本条の趣旨は全額請負給に対しての保障給のみならず一部請負給についても基本給を別として、その請負給について保障すべきものであるが、賃金構成からみて固定給の部分が賃金総額中の大半(概ね6割程度以上)を占めている場合には、本条のいわゆる「請負制で使用する」場合に該当しないと解される。」と通達されていることから、出来高給が月給等の固定給と併給されている場合であって、賃金総額のうち固定給の割合が大部分を占め、出来高給の割合が著しく少額(固定給主体+出来高給少額)である場合には請負制には該当しないとされていることから、保障給を定める必要はありません。
 
罰則
第二十七条の規定に違反して賃金の保障をしない使用者は、労働基準法第百二十条によって30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
「「保障をする」とは、現実に保障給を支払うという意味だけでなく、保障給を定めるという意味をも含むものと解されるから、保障給を定めないというだけでも本条違反が成立すると考えられる。ただし、本条はその定めの形式を問わないから、労働契約その他によって定められていればよく、就業規則に定めのないことが直ちに本条違反となるものではない。」とされています。
2025年10月22日 11:27

災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等

労働基準法第三十三条 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等
労働基準法ではその三十三条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)において、次のように規定しています。
第三十三条 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。
② 前項ただし書の規定による届出があつた場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる。
③ 公務のために臨時の必要がある場合においては、第一項の規定にかかわらず、官公署の事業(別表第一に掲げる事業を除く。)に従事する国家公務員及び地方公務員については、第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。
この規定は、労基法第三十二条から第三十二条の五もしくは第四十条で定められた労働時間、又は第三十五条の休日の例外規定として、災害等の避けることができない事由が存する場合又は公務のため臨時の必要がある場合に、法定の労働時間を超えて、又は法定の休日に労働させることができることを規定したものです。
 
そもそも労働基準法は、原則として労働時間の限度を1日8時間、1週40時間(法定労働時間)と定め、その例外として各種の変形労働時間制を定めています。
また、毎週少なくとも1回、又は4週4日以上の休日(法定休日)を与えなければならないとしています。
そして、法定労働時間を超えて時間外労働させる場合や法定休日に労働させる場合には、36協定を締結し所轄労働基準監督署に届出しなければなりません。
また、36協定を締結し監督署に届出た場合であっても、時間外・休日労働の上限規制*1が法第三十六条に定められているため、その上限を超えることはできません。
*1:時間外・休日労働の上限規制
○原則としての限度時間
・月45時間
・年360時間
○臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)
・年720時間以内
・月100時間未満(休日労働を含む)
・複数月(2月、3月、4月、5月、6月)平均80時間以内(休日労働を含む)
・時間外労働が45時間を超える月が1年について6か月以内
上記のように労働基準法には、原則の法定労働時間・法定休日が定められていて、これを遵守しなければならず、これを超えて労働させる場合には36協定を締結していなければなりません。ただし法第三十三条により、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合には、原則の法定労働時間を延長し、法定休日に労働させることができるのです。
この場合において、上記の時間外・休日労働の上限規制にかかわらず、時間外・休日労働をさせることも可能となります。
また、時間外労働・休日労働が行われた場合、使用者には割増賃金の支払義務が生じることになります。
 
「第一項」
<非常災害時の時間外・休日労働>
災害その他避けることのできない事由とは、災害をはじめ、事業の運営上通常予想し得ない突発的な、あるいは想定の範囲を超えた大規模又は重篤な事象で、通常必要と認められるような予防措置を講じていても避けられないような事象とされています。その上で臨時的な必要がある場合に限って、法第三十三条が適用できるものです。
臨時的な必要がある場合とは、災害その他避けることのできない事由であっても恒常的に時間外・休日労働が行われている場合には、要員の配置や勤務態勢の見直しなど人事労務管理上の措置や業務の見直し、効率化等の措置によって対応すべきものであって、人事労務管理、業務運営上の措置を講じたとしても時間外・休日労働をせざるを得ない場合が該当し、そのような場合に本条の適用が認められるものです。
当該第三十三条の適用には、事態急迫の判断が使用者による主観的判断によるものでなく、客観的に判断されることを要する観点から行政官庁の許可、又は事態急迫のため行政官庁の許可を受ける暇がない場合には、事後に遅滞なく届出ることを要件としています。
そのことから、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準」によってその詳細が示されています。
「第1項は、災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定であるからその臨時の必要の限度において厳格に運用すべきものであって、その許可又は事後の承認は、概ね次の基準によって取り扱うこと。
(1) 単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと。
(2) 地震、津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応(差し迫った恐れがある場合における事前の対応を含む。)、急病への対応その他の人命又は公益を保護するための必要は認めること。例えば、災害その他避けることのできない事由により被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインや安全な道路交通の早期復旧のための対応、大規模なリコール対応は含まれること。
(3) 事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械・設備の故障の修理、保安やシステム障害の復旧は認めるが、通常予見される部分的な修理、定期的な保安は認めないこと。例えば、サーバーへの攻撃によるシステムダウンへの対応は含まれること。
(4) 上記(2)及び(3)の基準については、他の事業場からの協力要請に応じる場合においても、人命又は公益の確保のために協力要請に応じる場合や協力要請に応じないことで事業運営が不可能となる場合には、認めること。」
また、当該許可基準について以下のような解釈が示されています。
「許可基準による許可の対象には、災害その他避けることのできない事由に 直接対応する場合に加えて、当該事由に対応するに当たり、必要不可欠に付随する業務を行う場合が含まれること。 具体的には、例えば、事業場の総務部門において、当該事由に対応する労働者の利用に供するための食事や寝具の準備をする場合や、当該事由の対応のために必要な事業場の体制の構築に対応する場合等が含まれること。」
「許可基準(2)の「雪害」については、道路交通の確保等人命又は公益を保護するために除雪作業を行う臨時の必要がある場合が該当すること。 具体的には、例えば、安全で円滑な道路交通の確保ができないことにより通常の社会生活の停滞を招くおそれがあり、国や地方公共団体等からの要請やあらかじめ定められた条件を満たした場合に除雪を行うこととした契約等に基づき除雪作業を行う場合や、人命への危険がある場合に住宅等の除雪を行う場合のほか、降雪により交通等の社会生活への重大な影響が予測される状況において、 予防的に対応する場合も含まれるものであること。」
「許可基準(2)の「ライフライン」には、電話回線やインターネット回線等の通信手段が含まれること。」
「許可基準に定めた事項はあくまでも例示であり、限定列挙ではなく、これら以外の事案についても「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合」となることもあり得ること。例えば、新許可基準(4)において は、「他の事業場からの協力要請に応じる場合」について規定しているところであるが、これは、国や地方公共団体からの要請が含まれないことを意味するものではない。そのため、例えば、災害発生時において、国の依頼を受けて避難所避難者へ物資を緊急輸送する業務は対象となるものであること。」
「また、「ライフラインの復旧」とは、電気、ガス、水道等のライフラインの復旧工事現場での作業に限定されるものではなく、地質調査、測量及び建設コンサルタントの業務など、復旧の作業に伴う一連の業務を行う事業場についても33条許可等を行い得ること。」
なお、通達において「災害その他避けることのできない事由には、災害発生が客観的に予見される場合も含む」とされていますので、不確実とはいえそのような事由の発生が予想されるような場合も含まれるものと思われます。
第一項においては、労働させることができる時間外・休日労働について、「その必要の限度で」とされていますので、その時間は社会通念の範囲に限られるものであり、それを超えることは認められません。
 
「第二項」<休憩又は休日の付与命令>
第一項の時間外・休日労働をさせたとする使用者から事後の届出(許可申請の場合は客観的審査が行われる)を受けた行政官庁が当該時間外・休日労働を「不適当」と認めた場合、その時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを使用者に命ずることができます。当該命令は、労基法施行規則第十四条によって、様式第七号による文書で監督署長から発出されます。
「不適当」であるか否かは、第一項の要件を充たしているか否かの観点から判断され、「災害その他避けることのできない事由」がないのに時間外・休日労働をさせた場合は不適当と判断されるのは当然のこととして、そのような事由があっても、「必要の限度」を超えた場合も不適当と判断されます。
不適当と判断された場合の休憩・休日付与命令に関して、「第二項の命令については慎重に取扱い、延長が長時間にわたるものについてこれを発すること。」と通達されていますので、厳重な審査が行われると言えるでしょう。
 
「第三項」<公務のための時間外・休日労働>
第三項は、国及び地方公共団体の事業のうち労働基準法別表第一*2に掲げられる事業を除いた官公署の事業(現業でない官庁事務)に従事する国家公務員・地方公務員を適用対象としています。適用対象となる国家公務員・地方公務員については、一般に当該第三項の規定によって、時間外・休日労働をさせることができ、上記の36協定の締結も不要とされています。通達においてその旨が示されています。
また、「「公務のため臨時の必要がある」か否かについての認定は、一応使用者たる当該行政官庁に委ねられており、広く公務のための臨時の必要を含むものである。」と通達されており、「第一項の規定にかかわらず」とあるとおり「災害その他避けることのできない事由」の有無を問われていませんし、行政官庁の許可又はこれに対する事後の届出についても求められていません。使用者たる行政官庁の判断は重要であると言えるでしょう。
なお、第三項には「その必要の限度において」の文言が含まれていませんが、臨時の必要があるとしてもその限度を超えて時間外・休日労働を命ずることができるということではないと解するべきとされています。
*2労働基準法別表第1
一 物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)
二 鉱業、石切り業その他土石又は鉱物採取の事業
三 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
四 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
五 ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業
六 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
七 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業
八 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業
九 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業
十 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業
十一 郵便、信書便又は電気通信の事業
十二 教育、研究又は調査の事業
十三 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
十四 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業
十五 焼却、清掃又はと畜場の事業
2025年10月14日 13:47

労働者には大切な権利です!年次有給休暇の基礎知識

○労働基準法第三十九条 年次有給休暇について
労働契約上「休日」は労働義務がない日を意味するものであるのに対して、「休暇」は本来であれば労働者に労働義務があるものの、使用者によってその義務が免除された日のことをいいます。このことから、休日は無給である一方、休暇は労使間の取り決めによって有給か、無給かが区別されます。
年次有給休暇は、その名のとおり毎年一定日数与えられる「賃金を得ながら休む」ことができる労働基準法第三十九条に規定されている労働者の権利です。
労働基準法第三十九条においては、年次有給休暇は労働者にとって重要な事項である故に第一項から第十項に亘って詳細な規定が定められています、各項の内容について以下に記載します。
・第一項:入社後六ヶ月間継続勤務した労働者への有給休暇付与義務と付与日数(十労働日)の定め
また、継続勤務した期間を六ヶ月経過日から一年ごとに区分した各期間の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である労働者には有給休暇を与えなくてよい(八割以上出勤要件)ことの定め
・第二項:入社後一年六ヶ月以上(入社日から起算して六ヶ月を超えて継続勤務する日から起算した継続勤務年数一年ごと)継続勤務した労働者への有給休暇付与義務と付与日数(下表①)の定め
また、八割以上出勤要件の定め
①通常の労働者の付与日数                                                                             
勤続年数 一年六ヶ月 二年六ヶ月 三年六ヶ月 四年六ヶ月 五年六ヶ月 六年六ヶ月(最大)
付与日数 11労働日 12労働日 14労働日 16労働日 18労働日 20労働日
 
・第三項:所定労働日数が少ないパート労働者等*1への有給休暇付与義務と付与日数(下表②)の定め(有給休暇の比例付与)
*1一週間の所定労働日数が4日以下および週以外の期間によって所定労働日数が定められていて一年間の所定労働日数が216日以下の労働者であって、一週間の所定労働時間が30時間以上の者を除く
                   ②週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数
雇い入れの日から起算した継続勤務期間
週所定労働日数 一年間の所定労働日数※ 六ヶ月 一年六ヶ月 二年六ヶ月 三年六ヶ月 四年六ヶ月 五年六ヶ月 六年六ヶ月
4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日
                  ※週以外の期間によって労働日数が定められている場合
・第四項:有給休暇を時間単位で与えることができる「時間単位有休制度」についての定め
年次有給休暇の取得は、日単位での取得が原則ですが、平成20年の改正で仕事と生活の調和を図る観点から、有給休暇を有効に活用できるようにするために、労使協定により5日の範囲内で時間を単位として与えることができることとされています。
・第五項:労働者からの時季指定による有給休暇の取得と使用者の時季変更権についての定め
労働者の年次有給休暇の権利は、一定期間の継続勤務と八割以上出勤の要件を充たすことによって、法律上当然に生ずるとする年次有給休暇権と、労働者が時季指定をしたときは、年次有給休暇が成立し当該労働日における労働義務が消滅するとする時季指定権で構成されると最高裁判決で示されています。
これに対して使用者には、労働者から指定される時季に休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には、他の時季に変更することができるとする時季変更権が認められています。
・第六項:労使協定によって有給休暇の取得時季を特定する有給休暇の計画的付与についての定め
年次有給休暇の時季を特定する方法として、昭和62年の改正で第五項の労働者による時季指定の方法に加えて計画的付与制度が規定されました。
・第七項:使用者の時季指定によって有給休暇の取得時季を特定する使用者の時季指定による付与についての定め
年次有給休暇の時季を特定する方法として、平成30年の改正で第五項の労働者の時季指定の方法、第六項の計画的付与による方法に加えて使用者による時季指定による付与が規定されました。条文では「使用者は、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない」とされていますので、この方法で有給休暇を与えることは使用者の義務とされています。
・第八項:第七項の使用者による時季指定の方法で有給休暇を付与する義務とされる日数から第五項と第六項の方法で与えた日数を控除できることについての定め
第七項の使用者の時季指定による有給休暇の付与は、年10労働日以上の有給が支給される労働者について5日を指定することが義務とされていますが、第五項の労働者が自身で請求した日数と第六項の計画的付与日数については義務の5日から控除することができるため、その日数分義務日数が減少します。
・第九項:有給休暇取得日について使用者が支払いを義務付けられる賃金額の算定についての定め
年次有給休暇を取得した際に支払うべき賃金として、①平均賃金②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金③健康保険法による標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(労使協定締結要)の三種類を定めています。
・第十項:八割以上出勤要件の算定に際しての方法についての定め
業務上の傷病により療養のため休業した期間、育児・介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間及び産前産後のため休業した期間については、本来欠勤ですが、出勤率の算定に当たっては、出勤したものとみなすこととし、労働者の故意過失によらない長期休業について有給休暇付与に当たり不利とならないようにしています。
・労働基準法第百三十六条:「使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」
年次有給休暇を取得したことを理由として、賃金の減額、精皆勤手当や賞与の算定に際して有給休暇日を欠勤又は欠勤に準じて取り扱うことのほか、有給休暇の取得を抑制するようなすべての不利益な取扱いは法の趣旨を損なうことに繋がるため、「不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と法条文において明確にしています。
 
○年次有給休暇の時季を特定する方法
労働基準法第三十九条においては、年次有給休暇の時季を特定する方法として、①労働者の請求する時季に与える方法、②労使協定で有給休暇を与える時季を定める方法(計画的付与)、③使用者の時季指定による方法の3通りの方法を定めています。法制定当初は①の方法のみが定められ原則的方法でしたが、昭和62年改正で②の方法、平成30年改正で③の方法が追加されました。
 
①労働者の請求する時季に与える方法
労働基準法第三十九条第五項に規定されている有給休暇の時季を特定する方法です。法制定当初より採用されている原則的方法であり、時季指定権と呼ばれ、休暇の時季選択を労働者に与えているものです。労働者が具体的な時季を指定した場合には、同第五項に規定されている使用者による時季変更権が行使される場合のほかは当然に有給休暇が成立することになります。
この労働者の時季指定権に対して使用者に認められている権利が時季変更権です。時季変更権とは、労働者から指定された時季に休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に休暇を変更できる権利ですが、事業の正常な運営を妨げる場合にのみ行使できるものです。事業の正常な運営を妨げるか否かについて、裁判例は「当該労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべき」としていますし、最高裁においても「使用者に対し、できる限り労働者が指定した時季に休暇を取ることができるように、状況に応じた配慮をすることを要請しているものとみることができ、そのような配慮をせずに時季変更権を行使することは、法の趣旨に反する。その配慮をしなかったとするならば、そのことは、時季変更権行使の要件の存否の判断にあたって考慮されなければならない。」としていますので、時季変更権の行使の際には企業は最大限の配慮をしなければならず、その行使は労働者の時季指定権の行使と比較すると容易ではないことが伺われます。

②労使協定で有給休暇を与える時季を定める方法(計画的付与)
労働基準法第三十九条第六項に規定されている労使協定で有給休暇の時季を定める方法です。昭和62年の法改正で追加された方法であり、計画的付与と呼ばれています。
計画的付与は、各労働者が保有する有給休暇日数のうち5日を超える部分についてのみ行うことができるものであり、その付与方式として、・事業場全体の休業による一斉付与方式、・班別の交替制付与方式、・年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式があり、業種や組織形態・業務内容等により様々な適用が考えられます。
なお、計画的に付与される年次有給休暇は、労使協定で定めるところによって付与されることとなり、この年休については労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権ともに行使できないと通達されています。また後述しますが、計画的付与として時間単位年休を与えることは認められません。
 
③使用者の時季指定による方法
労働基準法第三十九条第七項に規定されている年10日以上の年休が付与されている労働者に対して使用者が5日について労働者ごとに時季を指定して取得させる方法です。法条文では「使用者は、五日については、基準日(継続勤務した期間を六ヶ月経過日から一年ごとに区分した各期間)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時期を定めることにより与えなければならない。」と規定されていることから、年休を確実に取得させることが義務とされています。平成30年の法改正で追加された有給の付与方法です。
この使用者が有給を取得させる義務となる五日について、法第三十九条第八項において、第五項の労働者の時季指定によって取得した日数と第六項の計画的付与によって取得した日数は五日の内数とされ、使用者が時季を指定することによって取得させる必要はないと規定されています。
使用者が時季を定めることによって有給を与えるに当たっては、労働基準法施行規則によって、「あらかじめ、法第七項の規定により当該有給休暇を与えることを明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならない。使用者は、聴取した意見を尊重するよう努めなければならない。」とされています。
このことから、使用者が時季を定める時期については、必ずしも一年間の期首に限られず、当該期間の途中に行うことも可能です。
したがって、一年間の期首に労働者の意見を聴いた上で五日の有給休暇の時季を指定(期首指定)し、労働者が指定に則って取得した場合には問題ないものとし、基準日から一定期間が経過したタイミング(三ヶ月ごとや半年後等)で有給休暇の請求・取得日数が五日未満となっている労働者に対して、使用者が時季指定を行う(途中調整)等の運用を行い義務を果たす必要があります。当該第七項違反には30万円以下の罰金が科される可能性がありますので、適切に運用することが必要です。
なお、「労働者の意見を聴いた際に半日単位の有給休暇の取得の希望があった場合においては、時季指定を半日単位で行うことは差支えない。この場合において、半日の年次有給休暇の日数は0.5日として取り扱うこと。また、時季指定を時間単位年休で行うことは認められない。」との通達がありますので、時季指定に関して半休は適用できますが、時間単位年休は適用できません。
 
④その他 時間単位有給休暇
その他、平成20年の改正で労使協定によって、時間を単位として有給休暇を与えることができることとされています。この時間単位有給休暇については、法第四項において「労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは・・・時間を単位として有給休暇を与えることができる。」とあるとおり、「労働者の請求する時季に与える方法」の一つであって、別個の時季特定の方法というわけではなく、日単位での取得が原則である有給休暇の取得単位の例外を規定しているものです。
また「時間単位年休についても、使用者の時季変更権の対象となるものであるが、労働者が時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更することや、日単位による取得を請求した場合に時間単位に変更することは、時季変更には当たらず、認められない。
さらに前述の計画付与として時間単位年休を与えることは認められない。」と通達されています。(時間単位年休は労働者が時間単位による取得を請求した場合に与えることができるものである)
なお、取得単位の観点から、既に多くの企業で取り入れられている「半日単位有給休暇(半休)」については、法律上明確な規定はなく、採用するか否かは企業の任意とされています。通達においても「年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。」とされていて、半休の取得を認めないことは構いませんが、認めてはならないということではありません。
 
その他、知っておきたいこと
○年次有給休暇の繰越と時効
年次有給休暇は、法第百十五条の規定により2年の消滅時効が認められる。と通達されていますので、当年度に取得されなかった有給休暇は次年度に繰越されます。この繰越しをした場合において、翌年度に休暇を付与するときに与えられる休暇が前年度のものか当年度のものかについては、当事者の合意によるが、労働者の時季指定権行使は繰越し分からなされていくとすべきとの説が一般的です。

○年次有給休暇の買い上げ
年次有給休暇は、取得することで所定労働日の労働義務を消滅させ、労働者の心身の疲労を回復させ、また、仕事と生活の調和の実現に資するという本来の目的に寄与することができるのであって、所定労働日に休業しない場合に金銭を支給することでは有給休暇を与えたことにはなりません。通達においても「年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第三十九条の規定により請求し得る年次有給休館日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法第三十九条違反である。」とされています。
ただし、法定日数を超えて付与される部分の有給休暇を買い上げる場合のほか、退職、時効等の理由で消滅するような場合に、残日数に応じて金銭の給付をすることは違法ではありません。
しかし、有給休暇の取得を抑制することになりかねないため、有給休暇を取得しやすい環境を整備することが好ましいといえるでしょう。

○年次有給休暇の取得理由を聞くことについて
有給休暇は労働者の心身の疲労を回復させるために取得するものですが、休暇の利用目的が休養のためでないという理由で使用者が拒否することは認められません。法律は有給休暇をどのような目的で利用するかについて関知していないのです。最高裁判決においても「年次有給休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨である。」としています。
つまり、労働者が年次有給休暇をいかなる目的に利用するかはその自由に委ねられ、使用者もその利用目的によって、有給休暇の付与を左右し得ないものであって、使用者から取得理由を聞かれたとしても労働者に理由を申出る必要はありません。
ただし、取得理由を聞くこと自体がただちに違法となるわけではなく、複数の労働者からの休暇の申出が同じ日にあったケース等で、時季変更権を行使する必要がある場合のように業務上の必要性が認められる場合には、取得理由を確認することは可能です。
労働者が理由を答えないことで取得を妨げたり、理由いかんによって付与を制限したりすることは違法となりますので、注意しなければなりません。
 
2025年10月01日 14:04

労働時間・休憩・休日の適用除外とは?

労働基準法第四十一条の「労働時間に関する規定の適用除外」とは?
労働基準法は、使用者との間に雇用契約を結んだ労働者全てに適用される法律です。この法律は、労働時間、休日、休憩時間等様々な事項に関して規制を行うことで、労働者の保護を図っています。
しかしその反面で、第四十一条において条件に該当する労働者については「労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない。」として規制の適用を除外しています。
第四十一条:この章(第四章)、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
 別表第一第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
したがって、上記に該当する労働者には法定労働時間を超えて労働させ、または法定休日に労働させて残業代を支払わないこと、休憩を与えないこと等で違法を問われることがなくなります。
条文によると、適用除外となるのは、あくまでもこの章(第四章)、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定です。その他の規定が除外されるものではありません。
ただし、第四十一条によっても深夜業に関する規定及び年次有給休暇に関する規定は適用除外にはなりませんので、注意が必要です。
つまり、対象となる労働者が深夜時間帯に勤務した場合には深夜労働の割増賃金を支払わなければなりませんし、年次有給休暇取得の請求があった場合には有給休暇を与えなければなりません。
 
「次の各号の一に該当する労働者」
○別表第一第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
第6号:土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農(林)の事業
第7号:動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業
農(林業は除く)畜水産・養蚕の事業に従事する労働者が該当しますが、これはこの種の事業はその性質上天候等の自然的条件に左右されるため、労働時間や休日の規制に馴染まないものとして適用除外とされています。
○事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
「監督若しくは管理の地位にある者」とは、「一般的には局長、部長、工場長等労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場に在る者の意であるが、名称にとらわれず出社退社等について厳格な制限を受けない者について実体的に判断すべきものである。」と通達されていて、いわゆる一般に言う「管理監督者」について適用除外とされています。管理監督者については、労働時間、休憩及び休日に関する規定の制限を超えて活動しなければならない企業経営上の必要から適用除外が認められています。
しかし、原則として、よく問題にされるポイントですが、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として適用除外が認められるものではありません。
「機密の事務を取り扱う者」とは、必ずしも秘密書類を取り扱う者を意味するのではなく、「秘書その他の職務が経営者又は監督若しくは管理の地位に在る者の活動と一体不可分であって、出社退社等についての厳格な制限を受けない者である。」と通達されていて、厳格な労働時間管理になじまない者として適用除外とされています。
 
○監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
監視又は断続的労働に従事する者については、通常の労働者と比較して労働密度が疎であり、労働時間、休憩、休日の規定を適用しなくても必ずしも労働者保護に欠けるところがないことから適用除外が認められています。ただし、監視断続的労働はその態様が様々であることから無条件に適用除外とすることは労働条件に著しい影響を及ぼす可能性が考えられるので、適用除外とするためには行政官庁の許可が必要とされています。
通達においては、「監視に従事する者は原則として一定部署に在って監視するのを本来の業務とし常態として身体又は精神緊張の少ないものの意であり、その許可は概ね次の基準によって取り扱うこと。」
  • 火の番、門番、守衛、水路番、メーター監視等の如きものは許可すること。
  • 犯罪人の看視、交通関係の監視等精神緊張の著しく高いものは許可しないこと。
  • プラント等における計器類を常態として監視する業務は許可しないこと。
  • 危険又は有害な場所における業務は許可しないこと。
とされています。
また、断続的労働とは、作業自体が本来間欠的に行われるもので、したがって、作業時間が長く継続することなく中断し、しばらくして再び同じような態様の作業が行われ、また中断するというように繰り返されるものをいいます。
通達では、「断続的労働に従事する者とは、休憩時間は少ないが手待時間が多い者の意であり、その許可は概ね次の基準によって取り扱うこと。
  • 修繕係等通常は業務閑散であるが、事故発生に備えて待機するものは許可すること。
  • 貨物の積卸に従事する者寄宿舎の賄人等については、その者の勤務時間を基礎として作業時間と手待時間折半の程度まで許可すること。実労働時間の合計が八時間を超えるときは許可すべき限りではない。
  • 鉄道踏切番については、一日交通量十往復程度まで許可すること。
  • 汽罐夫その他特に危険な業務に従事する者については許可しないこと。
とされています。
以上、労働時間、休日、休憩の規定が適用除外される労働者として、事業の種類、労働者の地位、労働の態様が法定労働時間や週休制を適用するのに適さないものとして1号から3号の3種が対象とされています。
適用除外に関する留意点
○労基法上の管理監督者に該当するか
会社内で管理職とされている労働者であっても、それが直ちに労基法上の「管理監督者」に該当するとは言えません。この点が最も大きな留意点です。
管理監督者は労基法の労働時間、休憩、休日の規制の適用を受けないため、時間外労働、休日労働に対する手当(残業手当や休日出勤手当)の支払いが不要になりますので、実際に当該手当を支払っていない場合に、その実態から管理監督者に該当しないと判断され管理監督者性が否定されたときには、賃金の未払い問題が発生します。その場合過去に遡っての賃金を一度に請求され、また複数人からの請求があった場合には×複数倍の賃金を請求されるおそれがありますので、大きなトラブルに発展します。
そのようなトラブルを避けるためには、管理監督者に該当する労働者の範囲を管理監督者に該当するか否かの判断基準に則って適正に判断しなければなりません。
では、その判断基準とはどのようなものなのでしょうか。行政実務上また裁判例上もその判断にあたり、対象労働者の管理監督者性について、①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限が認められていること(職務内容・責任及び権限の程度)②実際の勤務態様における自己の労働時間に関する裁量権があること③一般の従業員よりも高いその地位と権限にふさわしい賃金等の待遇を与えられていることの3つの要素を総合的に勘案して判断しています。
したがって、労働者を管理監督者として労働時間等の適用を除外するにあたっては、部長や課長だからというだけで安易に判断するのではなく、上記判断基準に則っているかについてしっかりと検討し適正に運用することが重要です。
○監視又は断続的労働に従事するものに関して行政官庁の許可を受けているか
労働基準法第四十一条第三号では、行政官庁の許可を受けたものが適用除外とされていますので、監視又は断続的労働という労働の態様のみを以て適用除外は認められません。
行政官庁の許可を受けるという要件を満たしていないため、適用除外の効果は発生しません。必ず行政官庁の許可を受けることが必要です。
○安全衛生法上の労働時間の状況の把握義務
労働安全衛生法はその第六十六条の八の三において、「事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。」と規定していますので、事業者は労基法第四十一条の適用除外の対象となる労働者の労働時間についても把握する義務があります。条文に規定されている「厚生労働省令で定める方法」*1によって労働時間を把握しなければなりません。
*1:労働安全衛生規則第五十二条の七の三 法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。
○労働者の安全への配慮
労働契約法第五条には、「労働者の安全への配慮として、使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定されています。
この安全配慮義務は労働契約締結に伴って信義則上当然に企業が負うことになる義務で、労働者の生命・身体の安全や心身の健康が阻害されることがないように配慮する義務のことです。労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められています。
労働基準法第四十一条によって労働時間、休憩、休日の規定が適用除外されているからといって、働かせすぎは禁物です。労働者の安全への配慮を怠った場合には、損害賠償請求をされる可能性があります。
2025年09月12日 15:33
事務所名 アクサリス社会保険労務士事務所
代表者名 三戸 和洋
所在地 〒755-0004 山口県宇部市草江一丁目10-19-1
アクセス ・JR宇部線草江駅から徒歩10分
・山口宇部空港から徒歩15分
・ときわ公園入口から徒歩20分
電話番号 090-3263-4864
営業時間 9:00〜18:00
定休日 土・日・祝日

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