令和8年10月1日~ 求職活動等におけるセクシャルハラスメント対策義務化!
○求職活動等におけるセクシャルハラスメントとは?雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律が令和8年10月1日から改正され、新たに第十三条、第十四条に求職活動等におけるセクシャルハラスメントが定義されます。
(求職活動等における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第十三条 事業主は、求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの*1(以下この項及び次項並びに次条において「求職者等」という。)によるその求職活動その他求職者等の職業の選択に資する活動(以下この項及び同条第一項において「求職活動等」という。)において行われる当該事業主が雇用する労働者*2による性的な言動により当該求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう、当該求職者等からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が事業主による求職者等からの前項の相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
4 第四条第四項及び第五項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第四項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。
(求職活動等における性的な言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務)
第十四条 国は、求職者等の求職活動等を阻害する前条第一項に規定する言動を行ってはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「求職活動等における性的言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2 事業主は、求職活動等における性的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が求職者等に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。
3 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、求職活動等における性的言動問題に対する関心と理解を深め、求職者等に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
4 労働者は、求職活動等における性的言動問題に対する関心と理解を深め、求職者等に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。
○求職活動等におけるセクシャルハラスメントとは
求職活動等におけるセクシャルハラスメントとは、法第十三条第一項より、求職活動等において行われる事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されることをいいます。
㈠求職者等とは
*1:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則 第二条の三( 法 第 十 三 条 第 一 項 の 厚 生 労 働 省 令 で 定 め る 者 )
法 第 十 三 条 第 一 項 の 厚 生 労 働 省 令 で 定 め る 者 は 、 求 職 者 以 外 の 者 で あ つ て 、 次 に 掲 げ る 者 と す る 。
一 事 業 主 の 実 施 す る 労 働 者 の 採 用 に 資 す る 活 動 に 参 加 す る 者
二 教 育 実 習 、 看 護 実 習 そ の 他 の 実 習 を 受 け る 者
㈡労働者とは
*2:いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、 契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する労働者の全てをいう。
また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、防止措置を講じることが必要。
㈢求職活動等とは
法第十三条第三項に基づいて定められた「指針」(事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)において以下の様に定義されています。
「求職活動等」とは、求職者が行う求職活動や求職者に類する者が行う職業の選択に資する活動を指し、例えば以下のものが含まれる。
(例)
・ 企業の採用面接への参加 ・ 企業の就職説明会への参加 ・ 企業の雇用する労働者への訪問 ・ インターンシップへの参加 ・ 教育実習、看護実習等の実習の受講
なお、SNS等のオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも含まれる。また、事業主が雇用する労働者が通常就業している場所で行われるものに限らない。
㈣性的な言動とは
「指針」において以下のように定義されています。
「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指し、この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる。 また、当該言動を行う者には、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)も想定されるため、これらの者による「性的な言動」についても必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。
○求職活動等におけるセクシャルハラスメントの典型例
「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」とは、求職活動等において行われる求職者等の意に反する性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害され、能力の発 揮に重大な悪影響が生じる等当該求職者等が求職活動等を行う上で看過できない程度 の支障が生じることであって、その状況は多様ですが、指針においては典型的な例として、次のようなものが挙げられています。
イ 少人数の説明会において、労働者が求職者等の腰、胸等に触ったため、当該求職者 等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
ロ 企業が実施するインターンシップにおいて、労働者が求職者等に対して性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行ったため、当該求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
ハ 企業が実施するインターンシップにおいて、性的な内容を含むポスターの掲示や画 面の表示等を行っているため、求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が 手につかないこと。
ニ 面接中、面接官を務める労働者から性的な事実に関する質問を受け、求職者が苦痛 に感じてその求職活動の意欲が低下していること。
ホ 求職者等が労働者への訪問を行った際、当該労働者に性的な関係を求められ、当該 求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
ヘ インターンシップ中に労働者が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、当該求職者等 が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
○求職活動等におけるセクシャルハラスメントに関する国、事業主、労働者の責務
㈠国の責務
先出の男女雇用機会均等法第十四条第一項に求職活動等におけるセクシャルハラスメントに対する国の責務が定められています。
第十四条第一項 国には、
・「求職活動等における性的言動問題」*3に対する事業主その他国民一般の関心と理解を促すために、広報活動、啓発活動を行うこと
が求められています。
*3:求職者等の求職活動等を阻害するセクシャルハラスメントを行ってはならないことその他求職活動等における性的言動に起因する問題
㈡事業主の責務
先出の男女雇用機会均等法第十三条第二項、第十四条第二項、第三項に求職活動等におけるセクシャルハラスメントに対する事業主の責務が定められています。
第十三条 第二項 事業主には、
・労働者が事業主による求職者等からのセクシャルハラスメントについての相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、その労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと
第十四条 第二項
・自身が雇用する労働者の求職活動等におけるセクシャルハラスメントに対する関心と理解を促すこと
・労働者が求職者等に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をすること
・国の講じる求職活動等におけるセクシャルハラスメントに対する措置に協力すること
第十四条 第三項
・事業主自身が求職活動等におけるセクシャルハラスメントに対する関心と理解を深めること
・事業主自身が求職者等に対する言動に必要な注意を払うこと
が求められています。
㈢労働者の責務
先出の男女雇用機会均等法第十四条第四項に求職活動等におけるセクシャルハラスメントに対する労働者の責務が定められています。
第十四条 第四項 労働者には、
・求職活動等におけるセクシャルハラスメントに対する関心と理解を深めること
・求職者等に対する言動に必要な注意を払うこと
・事業主の講じる求職活動等におけるセクシャルハラスメントに対する措置に協力すること
が求められています。
○求職活動等におけるセクシャルハラスメント防止のために事業主が講じなければならない措置の内容
先出の男女雇用機会均等法第十三条第一項に、事業主は求職活動等におけるセクシャルハラスメントを防止するために必要な措置を講じなければならないことが規定されています。
この講ずべき措置の内容について、指針において次のとおりその詳細が示されています。
㈠事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
①求職活動等におけるセクシャルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
②求職活動等におけるセクシャルハラスメントを行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を、管理監督者を含む労働者に周知すること。
③求職活動等に関するルール*4をあらかじめ明確化し、労働者及び求職者等に周知・啓発すること。
*4:面談時間及び場所の指定、実施体制、やりとりに用いるSNSの種類の指定等、面談等を行う際の規則等
㈡相談に応じ、適切に対応するための必要な体制の整備
①相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、求職者等に周知すること 求職者等は人事担当者への相談をためらうことが考えられるため、相談窓口の担当者は人事担当者以外の者を指定することもあり得る。
㈢事後の迅速かつ適切な対応
①事実関係を迅速かつ正確に確認すること
②求職活動等におけるセクシャルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
③求職活動等におけるセクシャルハラスメントが生じた事実が確認できた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
④改めて求職活動等におけるセクシャルハラスメントに関する方針の周知・啓発等再発防止に向けた措置を講ずること。求職活動等におけるセクシャルハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の再発防止措置を講ずること。
㈣㈠から㈢までの措置と併せて講ずべき措置
①相談への対応又はセクシャルハラスメントに係る事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者及び求職者等に対して周知すること。
②労働者が求職活動等におけるセクシャルハラスメントに関する事実関係の確認等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
○求職活動等におけるセクシャルハラスメントを防止するために事業主が行うことが望ましい取組
指針は、先述の求職活動等に対するセクシャルハラスメント防止のために事業主が講じなければならない措置の内容に加え、事業主が行うことが望ましい取組として、以下の内容を挙げています。
①求職者等が所属する機関との連携
・大学や専門学校等、求職者等が所属する機関から求職活動等におけるセクシャルハラスメントの相談に関する情報が提供された場合には、それらと連携し、適切な対応を行うことが望ましい。
②顧客等からのセクシャルハラスメントへの対応
事業主は、求職者等から、顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者(カスタマーハラスメントにおける顧客等)による求職者等に対するセクシュアルハラスメントに類すると考えられる相談があった場合には、その内容を踏まえて、求職者等に対するセクシャルハラスメント防止のための雇用管理上の措置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。
○求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等に関し行うことが望ましい取組
指針は、前出の事業主及び労働者の責務の趣旨に関連し、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為、求職活動等における妊娠、出産等に関するハラスメントに類する行為及び求職活動等における育児休業等に関するハラスメントに類する行為(以下「求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等」という。)について、事業主は、当該事業主が雇用する労働者の求職者等に対する言動についても必要な注意を払うよう配慮するとともに、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)自らと労働者も、求職者等に対する言動について必要な注意を払うよう努めることが望ましいと、他のハラスメントに対する防止措置を行うことが望ましいとしています。 こうした責務の趣旨も踏まえ、事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化等を行う際に、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等についても、同様の方針を併せて示すことが望ましく、求職者等から求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等に関すると考えられる相談があった場合には、求職者等に対するセクシャルハラスメント防止のための雇用管理上の措置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましいとしています。
また、求職者等から、顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者による求職活動等におけるカスタマーハラスメントに類すると考えられる相談があった場合には、その内容を踏まえて、求職者等に対するセクシャルハラスメント防止のための雇用管理上の措置も参考にしつつ、 必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましいとしています。
2026年07月31日 10:03